生活保護法改正


【社説】東京新聞TOKYOWebより
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013121602000139.html

生活保護法改正 貧困の救済を最優先に

2013年12月16日
 

 改正生活保護法が衆院で可決、成立した。改正法は保護申請のハードルが上がり生活困窮者を締め出すとの懸念がある。申請手続きを受ける自治体は、貧困からの救済を最優先に考えるべきだ。

 改正法では、不正受給対策が強化された。罰則を引き上げ、返還金の上乗せも盛り込まれた。

 低賃金でも必死に働いて自立している人もいる。保護費は税金で賄われている以上、不正に保護費を受け取ることは許されない。

 問題は、不正受給を警戒するあまり制度を利用しにくくする懸念があることだ。

 自治体の窓口で申請の際、申請書の提出を義務付ける。現行は口頭でも可能だ。窓口を訪れる人は路上生活を余儀なくされてからたどり着く人や、家庭内暴力から逃げてきた人もいる。

 申請書類を用意できるか疑問である。「書類不備」を理由に申請を受け付けない「水際作戦」が心配だ。

 申請者の扶養義務のある親族に対しては、扶養を断る理由の説明を求めたり、親族の収入や資産を勤務先や金融機関に照会できる。

 これでは親族に及ぶ迷惑を考え、申請を断念する人がでる。扶養義務を負う人の支援が制度を利用する前提だと誤解を生む。

 実際、全国の約三分の一に当たる四百三十六カ所の福祉事務所が申請者の親族に扶養の意思などを尋ねる際に、扶養を優先的に受けることが制度利用の前提と受け取れる通知を出していた。

 扶養の有無は保護を利用する要件ではない。親族でも関係が良好とは限らない。非正規雇用が広がる今は家計を支えるのが精いっぱいの家庭も増えている。

 生活保護制度の利用は国民の権利である。困窮者が必要な保護を受けられるようにする責務が自治体にある。

 改正案は先に参院で審議、可決された。自治体の窓口での門前払いや、申請をあきらめる人が増えないよう政府に対応を求める付帯決議が採択された。政府は全国の保護の実態を監視すべきだ。

 今年の年末年始は九日間、行政機関の窓口が閉まる。その間も困窮者が受給申請に訪れることが予想される。

 困窮者の支援団体などが閉庁中の申請受け付けなどの対応を求めている。誰でも失業や病などで収入が絶たれ、いつこの制度に助けられるかわからない。不正受給は防がねばならないが、困窮者の救済を最優先に考えるべきだ。